大谷翔平メガ契約の衝撃、圧巻の2024シーズン
2023年末、大谷翔平選手はメジャーリーグ史上最大となる10年総額$700Mil(1,000億円)超の契約を獲得し、スポーツ界全体に衝撃を与えました。
そして迎えた2024年シーズン、個人成績は史上初の50-50の達成(HP、盗塁数ともに50本越)、2連続のリーグMVP、チームとしても所属するLAドジャースはワールドシリーズを制覇しました。2024年の日本スポーツ界は大谷翔平一色といっても過言はなかったでしょう。この契約は単なる金額の大きさだけでなく、彼の存在そのものがメジャーリーグそして日本スポーツ界の価値観を塗り替えたことを象徴しています。今回は、大谷翔平のこの驚異的な契約を振り返り、他スポーツ界の年棒事情とも比較しながら、最後にまとめとして私見を述べます。
(本記事は1$=150円で計算しています。)
二刀流で歴史を塗り替える: 大谷翔平の契約の全貌と特異性
- 大谷選手は「投手」と「打者」の両方を高レベルでこなす、非常に珍しい選手。
- 通常の選手の2倍の価値があるとされているため、契約金額が突出。
- 通常支払われる年俸(2024年~2033年): 約3億円/年
- 後払い総額: 約986億円
- 支払い期間: 2034年から2043年までの10年間で約98.6億円/年
ドジャースが得たリターン:戦力面と経済効果
- 打率: 310(リーグ2位)
- 本塁打: 54本(リーグ1位)
- 打点: 130打点(リーグ1位)
- 得点: 134得点(リーグ1位)
- 盗塁: 59盗塁(リーグ2位)
- ホーム観客動員数の増加:対前年比+34万人(計386万人→420万人)。大谷選手加入で注目度が集まったこと、WSに出場し試合するが増えたことが影響。
- 放映権料:ドジャース単体での放映権料は残念ながらデータを発見できず。一方で、アジア地域でのMLB全体の視聴が前年比+32%だったとのこと。これによりMLB全体で+100億円以上収入増があり、ドジャースに配分される放映権料も増加したと推定できる。試合数増加による放映権料増は前述の通り。
- グッズ売り上げ:大谷選手は2024年のMLB全体のジャージ売り上げトップ。愛犬デコピンとの関連グッズや、優勝記念グッズ等を考慮すると、約$50Milの売上増に貢献していると試算。
- SNSフォロワー:今やスポーツチームのマーケティングの柱となったSNSフォロワー数も大谷選手の加入後軒並み100万人以上増。
- スポンサーシップ収入:山本投手も同時に加入したこともあり、日系企業のスポンサー契約が以下の通り増加。各契約の詳細は公表されていないが、ドジャースのスポンサー料は前年比で$75Mil(約114億円)も増加したとのこと。これは全額が以下からの収入増ではないものの、少なくとも大半を占めると推察。
- 投手より野手:長期高額契約を結ぶ傾向がある。ちなみに投手のトップ5は以下の通り。この傾向については長くなるのでまた別途分析をする記事を掲載予定。
- 金満球団:メッツ、ヤンキース、ドジャース、パドレスの積極投資が目立つ。いずれも2024年シーズンのプレーオフに進出しており、パドレスとドジャースの、フィリーズとメッツの激闘は記憶に新しいところ。
- リスク:一方で3位のトラウト(と問題児レンドン)が契約通りの稼働をしないことがエンゼルスの財政状況及び戦力の足を引っ張っており、長期契約には①ケガ②急なパフォーマンス低下リスクが伴う。
- 攻>走、守:強打の外野手が多いことから、基本的には守備力や走力ではなく、長打を打てる選手が高額契約を結びやすい傾向にある。それだけ強打の選手はMLBでも希少ということ。
- 日本人:2名も入っていることは大変誇り高い。特に山本はNPBでの実績が評価されたため、今後NPBからMLBに挑戦する選手の契約も高額化が予想される。
- 年齢:契約締結はタティスJrが22歳時で最年少、ジャッジが31歳時で最年長。契約終了見込みは36-41歳で終身契約に近い印象。
- 今後の展望:2024年に投打二刀流として1000億円超えの契約を締結した大谷選手だが、すでに今オフにソトが最高額を更新。ブルージェイズのゲレーロJr(内野手/指名打者)も現在FAで交渉中となっており、今後は総額1000億円超えの契約が毎年出てくる可能性もある。
<表の説明>
- 上記は2024年単年の収入ランキング
- 本業=契約金年俸、ボーナス、および勝利報酬など、スポーツ活動に直接関連する収入
- その他=スポンサーシップ契約、広告出演料、ブランドアンバサダー報酬、個人のビジネス投資収益(例:商品ライン、企業所有)
- 税金や代理人手数料は収入総額から控除していない。また金融資産からの収益は、ランキングの収入には含まれない(推定する手段がないため)
- スポーツ収入が38億円となっている。前述の通り2024年ドジャースから支払われる給与は後払い条項があるため約3億円のみだが、それ以外に以下の収入があると推察。 ①契約ボーナス②オールスターの出場報酬③ポストシーズン賞金の分配④MLBからのマーケティング関連の分配➄ライセンス使用料(大谷グッズの売上に応じて支払われる)。特に①と➄が高額になる可能性があり、年棒以外のスポーツ収入合計が35億円程度とみられる。
- その他収入の元となる各契約のまとめ表は以下。
合計90億円の収入を得ているが、日系企業だけでなく、グローバルな企業に採用されていること、業種が多岐にわたることが特徴。
- 大谷を入れるため15位までとした変則的な表記だが、サッカー5人、バスケ4人、アメフト3人、野球1人、ボクシング1人、ゴルフ1人。
- サッカーの5名の内、ロナウド、ネイマール、ベンゼマがサウジアラビアで、メッシは米国でプレー。エムバぺはスペイン。改めてサウジ資本の強さが浮き彫りに。その他はゴルフのラームも米国に居住、ボクシングのアルバレスも基本的には米国で試合をしており、スポーツ市場=米国一強の図式は見える。
- 特にほぼ米国国内にしか市場のアメフトの本業での給与の高さは際立つ。
- 仮に大谷選手の契約に後払い条項がなかった場合、収入に+100億円が加わるため、全体の3位となりメッシやレブロンを抜く。
- 各スポーツで選手生命が違うものの、①サッカーは全盛期を過ぎた選手が4/5(エムバぺのみこれから全盛期)②バスケは3/4が全盛期過ぎ(ヤニスはこれから?)③アメフトは全員QBであり現在からあと5年くらいが全盛期。ラーム、大谷、アルバレスは現在が全盛期と分析。
まとめと私見
2024年の大谷翔平選手の活躍と契約は、野球界、ひいてはスポーツ界全体において新たな基準を打ち立てたと言えるでしょう。その存在は「二刀流」の枠を超え、競技の枠を越えて「スポーツそのもの」の可能性を広げています。彼の契約は、経済的なインパクトのみならず、チームの戦力強化、ファン層の拡大、そしてスポンサーシップやグッズ売上の急増といったあらゆる側面で「今のところ」成功を収めています。
一方で、世界のトップ選手たちとの比較において、大谷選手の契約には「後払い条項」など独特の構造があることが浮き彫りになりました。これにより、短期的な収入は限定的に見えますが、長期的な安定性が確保される形となっています。これも、彼自身が持つ「唯一無二」の価値を象徴するものでしょう。
さらに、MLBだけでなく、サッカーやバスケットボール、ゴルフといった他競技のスター選手との比較を通じて、アメリカ市場の競争力やサウジアラビアの台頭、またスポーツごとの収益構造の違いが明らかになりました。面白かったですね。
今回の比較を通じて、新たに勉強したいことや記事にしたいテーマが増えました!皆様はいかがでしたか!?感想やコメントを是非ご教示賜れると幸甚です。よろしくお願いします。ではまた次の記事で。
Best regards, Sports & Money Talks

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